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2018年7月、テレビ朝日で「ハゲタカ」の放送が開始されました。
ハゲタカと言えば、元新聞記者の作家・真山仁による小説で、2007年にNHKで1度ドラマ化されています。
外資ファンド「ホライズン・インベストメント・ワークス」の日本代表になった主人公鷲津が、様々な企業を買収ししてくという経済エンターテインメント作品です。
ちなみに、の主人公の鷲津は2007年のNHK版では「大森南朋」、2018年のテレビ朝日版では「綾野剛」となっています。
なかなか、M&Aの舞台裏がつまびらかになるドラマはないので、是非、ご覧下さいね。
さて、この記事ではM&A、事業承継で会社売却する際のポイントを紹介していきます。
- 会社の売却を考えている人
- 後継者が不在で悩んでいる人
- 後継者はいるが頼りないと思っている人
ポイント1 『会社売却』=『身売り』と思っていませんか
- 「身売りって思われるのかなぁ」
- 「会社人生かけてきたのに、身売りか・・・」
もしかすると、会社売却をそんなふうに捉えてませんか?
会社売却を「身売り」にするのも「真の事業承継」、つまり「会社にとってよりふさわしい事業の継続」にするのも経営者しだいです。
経営者が会社売却において「何を目的」にしてそれに向かって「どうしていくのか」次第なのです。
ですから、私は会社売却の最初の段階で、次の様に何度も確認します。
もちろん100%の経営者の方々が
「はい」とお答えになります。
とはいえ、
という不安もよくわかります。
そんな時には
その姿勢をそのまま会社売却の際にもお持ちになって下さい。
それは決して『身売り』にはなりません
と、お伝えします。
すると・・・
ここでもたいていの経営者の方々は「わかりました」とおっしゃいます。
しかし、実際具体的に話を進めていく過程で残念ながら「身売り」をしようとする方と、「真の事業承継」をする方と分かれてきます。
その違いは会話の端々に現れてきます。
「真の事業承継」をしようとする経営者は、
- 「この社員はこういうことを頑張ってきたから、今できるようになりました」
- 「この社員はなかなか給料が上げられなかったので今度はあげて欲しいなぁ」
- 「こんな苦しい時にも、あいつは黙って付いてきてくれた」
とずっと社員の話が続きます。
一方で「身売り」をしてしまう経営者は、会話の中で社員の話もしますが、メインは会社売却の金額、つまりお金の話です。
前者の方と比べると会話の中で圧倒的に社員の話が少ないのです。
私はこれまで300人もの経営者の方々に事業承継のお話をさせていただきましたが、そのような方は300人の中には入っていません。
なぜなら、もう、「これは『身売り』だなぁ」と感じた時点で、やんわりお断りしているからです。
最初からそのような気構えでご一緒しても、ゆくゆくは「真の事業承継」はできません。
私がいくら「真の事業承継」をサポートしてさしあげたいと考えても、経営者が「真の事業承継」を望んでいなければ決してできないのです。
繰り返しになりますが・・・
会社のM&Aを「身売り」にするのも「真の事業承継」にするのも経営者しだいです。
ポイント2 会社売却を会社買収に変換して考えてみる
では、経営者が「真の事業承継」に対する気構えがあり、「よし!この社長とならいけそうだ」と思ったら次のするべきこと・・・
それは、自社の企業価値について考えることです。
「いくらで売れるのか」が経営者にとって一番の関心ごとであるのは当然です。
もちろん、決算書からあるいは事業規模から相場というものも算出できます。
会社売却ではここばかりクローズアップされてしまいがちです。
金額についてはたいてい最初に聞かれますが、
とお伝えします。
なぜなら、「いくらか」を考える前に会社売却の本質をふまえなくてはならないからです。
それが自社の企業価値について考えることになります。
しかし、人は自分のことはなかなかわからないように、自分の会社の価値もわかりづらいのです。
客観視するのは難しいですよね。
そこで、私は「社長が買いたくなる会社の一覧表を作りましょう。」と提案しています。
つまり、まず「自分が会社を買う」という逆の立場で考えてみるのです。
そしてこのときには、金額については条件をつけずに考えてもらいます。
お金のリミッターを外して考えてみると、「どんな会社だったら本当に買いたくなるのか」を体感できるようになります。
すると・・・
他の会社が「自分の会社を買いたい理由」がわかってくるのです。
これが自社の企業価値、強みになるのです。
と、同時に自社の足りないところも見えてきます。
これもとても大事です。
なぜなら「うちの会社ってこういう見られ方をするともっと良く見える」
そんな客観的な視点を持てるようになってくるからです。
このように売る立場 → 買う立場と、発想を転換することで、自社の企業価値を客観的に捉えることができるようになります。
そうすることで、やや気持ちが後ろ向きになりがちな「会社売却」が前向きにできるようになってきます。
そこまで、「自社の企業価値」を具体的に把握できるようになると、会社売却のプロセスは8割方済んだと言えます。
あとは数字や条件などのマッチングですから、比較的事務的なこととなります。
売る側が目的を明確にさえすればその目的に近い会社や経営者を選んでいけばよいのです。
ポイント3 会社売却後も人生は続く・・・ということを理解する
そして、最後に私のような第三者だからこそ言えることを経営者の方にお伝えします。
それは「会社売却後も人生は続く」ということです。
実は、ここまで考えを及ばせるのはなかなか当事者には難しいものです。
仮に会社売却が上手くいき、納得いく金額で会社を売却できたとしましょう。
しかし、その後、もし、その会社の事業が上手くいっていないことがわかると経営者は
- 「あの社長に引き継がせて良かったのだろうか・・・」
- 「お金だけで決めてしまったのではないか・・・」
などと必ず悩みます。
また、上手くいったら、上手くいったで
- 「安く売りすぎたのではないか・・・」
などと悩みは尽きません。
なぜなら、会社売却した後、経営者には悩む時間がたっぷりあるからです。
これまで人生のほとんどを占めてきた、「会社経営」の時間がなくなると誰であっても心にぽっかり穴が空いたような気持ちになります。
そして、時間があると余計なことを考えてしまうのです。
「ライフシフト(Life shift)」人生100年時代とも言われる現代では、想像以上に「余生が長い」のです。
そんな理由もあり、私は経営者の方に「会社売却後も人生は続く」ということを最初に申し上げています。
そんなふうに私が伝えると、会社売却が済んだ後
ちょっと違っていたかもしれませんね
と、そこには考えが及ばなかったことを少々後悔される経営者もいますし、
逆に
と言ってくれる方もいます。
会社売却で本当に目指していることは
「勇退」=「幸せになってもらうこと」です。
そして
悔いの無いように・・・
長期的な視点で・・・
本当に会社にも社長にもベストな選択を・・・
考えに、考えてもらいます。
その時経営者の方は、ご自身にとって「人生の幸せとは何か?」を考えるのです。
会社の幸せ=自分の幸せ、である経営者にとって会社売却とはまさに「ライフシフト」そのものなのです。
会社売却で押さえておきたい3つのポイントまとめ
さて、如何だったでしょうか?
会社売却は、とかくマイナスなイメージで捉えられがちですが、経営者の心持ちで大きく変わります。
その為に、今回3つのポイントを紹介しました。
ポイント1:『身売り』ではなく『真の事業承継』をするという覚悟を持つ
ポイント2:自社の企業価値を客観視する
ポイント3:会社売却後も人生は続くことを理解する
この3つのポイントは、会社売却をする際とても重要なポイントになります。
もし、会社売却について少しでも不安なことがあれば、お気軽に相談して下さい。
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『真の事業承継』そして『勇退』ですよね。