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講習会・講演会・研修会などのセミナーは、参加することが目的ではなく、最終的にはそこから得た情報を実益に結び付けることが目的です。
とはいえ、なかなか実践に結び付けるのに、苦戦されている方は多いのではないでしょうか。かくいう筆者もその一人です。
報告者の話を「単なる良い話」で終わらせないためには、グループ討論というやり方は効果的です。中小企業家同友会では、1970年代から取り入れ、より深い学びを追求しています。
グループ討論では、他の参加者の受け止めたことや、学んだことを参加メンバーで互いにシェアします。
・受け止めたこと: 他の参加者は、報告者の話をどのように理解したのか。
・学んだこと: 他の参加者は、報告者の話をどのように自社の経営課題と結び付けたのか。
いろいろな意見を交流させることで、報告者の限られた体験を一般的な教訓へと高め、それぞれの企業経営に活用できるものにして、持ちかえることができます。他の人がどのように感じたかは、とっても参考になりますよね。
さて今回は、価値ある学びにするためのグループ討論の学び方や進め方についてお伝えします。
- セミナー等の企画を検討している人
- 会社経営に行き詰まりを感じている人
- 中小企業家同友会に入会している人
グループ討論に取り組む姿勢
グループ討論が成功した状態とは、参加した目的や討論テーマを深めることができる状態になっていることです。もっと言うならば、明日から自社で何を実践していくかが明らかになっている状態です。
グループ討論を成功させるためには、いくつかのルールがあります。参加するメンバーすべてがルールを意識すれば、深い学びになること間違いなしです。以下の❶~❺を意識して、グループ討論に臨みましょう。
❶「学び方」を学ぶ
報告者の話から「何を学んだのか」を出し合うことにより、お互いの「学び方」の違いについて認識し、それぞれの「学び方」の優れた点を学びます。
別の言い方をすれば人の話を聞く力、聞きわける力を身につけることであり、他人の話をじっくり聞いて自分の責任で最大の教訓を引き出す力をつけることです。そうすることで、自身の引き出しを増やすことにもつながります。
変化球二回ひねり(聞き方の参考事例)
一回目のひねりとは、報告からの学びのことです。
建設業の社長の話を印刷業の社長の方が、「俺の業種とは関係ない」と思ったら、そこでおしまいです。安西先生風に言えば、そこで試合終了です。
- 自分と何が違うのか?
- 自分ならどうするか?
経営者としての共通項(経営者としてのあり方、哲学、人間としてのありよう)を拾い出し、自身の経営姿勢や経営課題に置き換えて、自分の胸に落とし込んでいきましょう。これが変化球「一回目のひねり」です。
二回目のひねりとは、グループ討論での学びのことで、「学び方を学ぶ」ということです。
報告者の話を聞いてどんなことを学んだかを交流しあいます。その中には、共通点もありますが、自分が気づかなかったことを聞いている人もいます。各々の問題意識を持って話を聞いているので、それぞれで学ぶ内容が違うのです。その違った内容を聞きこんでいくことを変化球「二回目のひねり」と表現します。
❷ 知的な気配り・知的なマナー
本音の討論とは、自分の会社、もしくは、自分自身のことを飾らず、率直に自分の考えを述べ合うことです。そうすることによって、テーマに深く迫ることができます。と同時に、相手の立場を考え、強烈な自己主張をひかえ、知的な表現を心掛けましょう。
❸ ノウハウではなく本質を学ぶ
討論は経営のテクニックの問題に終始することなく、報告やグループ討論の内容から、普遍化できるものをつかみとり、創造的に自社に活かすことです。
ノウハウについての質問も当然出ますが、経営の手法を学ぶだけではなく、グループメンバーの経営者としての生きざま、経営姿勢、経営哲学、考え方を深く理解することが大切です。
朝礼や評価制度の導入は形だけ真似をしても効果はありません。導入にあたっての経営者の考え方、経営姿勢、経営哲学など、なぜ導入したのか、なぜうまくいっているのか、その本質をつかみとりましょう。 グループ討論中に得た学びや気づきを、どのように自社や自分で実践していくかを考えながら発言しましょう。討論中に発表することで他の方から意見をもらえるため、実践にむけてさらに具体化できます。 報告者は講演のプロではありません。色々な話が盛り込まれる場合もあります。それを立場の違い(業種、事業内容や規模、経営観、経営手法)に固執せず、謙虚に積極的に教訓を引き出す力のある人ほど、得るものは大きくなります。どんな報告からも学ぶように心がけましょう。 報告者を評価する討論は避けましょう。報告者の話を生かすも殺すも自分次第です。同じ人の同じ話を三回聞いて、三回とも違うことを学べる、聞き手の力量が問われます。 グループ討論には正解はありませんが、グループ討論の目的を常に意識しながら討論を進めていくことが大切です。ざっくりとした流れは、こんなかんじです。 報告が始まる前に、名刺交換は済ませておきましょう。この時に可能であれば、テーブルメンバーの状況を把握することが大切です。これをやっておくことで、❸の自己紹介の時に余裕をもって話を聞くことができます。 まずは、グループ討論テーマの説明(テーマが設定された経過や意味)と一発言3分間で行うなどルールの説明も行います。 ☞ 発言時間が長くなった場合、途中で遮るということを予め了解を得ておいた方が良いでしょう。 テーブル長は、テーブルメンバーに報告の感想を聞くとともに、自己紹介をしてもらいます。 テーブル長は、テーブルメンバーの問題意識の差をすばやく察知し、次の討論の組み立てを考えます。反応が良さそうなベテランや協力者の目星をつけましょう。 できれば自分の右か左の方を発表者に指名すると、テーブルメンバーの視線が集まりやすくなります。 テーブル長は、与えられた討論テーマでテーブルメンバーの意見を聞いていきます。この時に、ワントーク、ワントピックで話してもらうようお願いします。いろいろな内容を一度に話されても焦点が定まらないため、議論が深まりません。 テーブル長は、テーブルメンバーの意見を絞り、共通の認識に至った部分を確認し、具体的な討論の方向性を決めていきます。深めたいテーマを拾い上げ、さらに深い議論へ話を絞れるのはテーブル長の特権です。 ・「●●さんから今、▲▲といった内容の意見が出されましたが、この点について■■さんは、どのように考えられますか?」と振っていきます。 ・「それは何のためにやられているのですか?」「その意図は何ですか?」など発言の内容を深堀りしていく質問をします。 ・この時に、テーブル長が扇の要(質疑応答)にならないように注意しましょう。グループ討論の理想的な姿は、深めたいテーマについて参加者がどんどんと自主的に意見を述べ合うようなムードです。 テーブル長は、意見を述べる人が偏ってきたら、発言の少ないテーブルメンバーに振っていきます。本質的な議論から外れないように気を配りましょう。意見が出にくくなったら、ベテランに振ってみるのもありです。 討論終了10分前には、全員に本日のまとめについて、一人30秒~1分で述べてもらいます。 討論終了5分前には、討論のまとめをテーブルメンバーに確認し、グループ発表者に伝えます。参加者全員が心から納得する「まとめ」になれば、参加者の満足度がアップすること間違いなしです。 グループ討論をまとめることは容易ではありませんが、様々な考え方を持ったテーブルメンバーの討論をリードする経験は、様々な効果をもたらしてくれます。 テーブル長を引き受ける役得を意識して、自分の成長へとつなげていきましょう! 結論(おとしどころ)をあらかじめ決めず、参加者一人一人の会社の状況が違うように、参加者一人一人が自分の課題にあった学びを持ち帰れるようにすることが大切です。 グループ発表は、それぞれのテーブルでどのような討論が展開され、どのような共通理解が得られたのかを共有する時間です。 発表者は、そのグループのまとめを伝える役割があります。 そのため、発表時は、報告者への御礼や個人的な感想や考えを述べるだけで終始しないよう気をつけましょう。 大勢の人前で物怖じせず発表することで、度胸が身につきます。話す目線、立ち振る舞い、声量、滑舌、話すスピード等を意識して、発表する経験を積めば。自社の朝礼や経営指針発表会の時にも役立ってくるはずです。 グループ討論を成功させるためにも、以下の事柄を事前準備の中で共有していきましょう。 報告者は講演のプロではありません。報告内容と趣旨・目的が合致する部分をさらに深めるように、主催側が一丸となって準備を進めていきましょう。報告者頼みにしないことが大切です。❹ 常に自社・自分に置き換えてみる
❺ 謙虚に積極的に教訓を引き出す
グループ討論の進め方と発表者の役割
グループ討論の進め方
❶ 始まる前の準備
❷ 討論テーマやルールの説明
❸ 自己紹介
❹ グループ討論後の発表者の指名
❺ 討論開始
❻ 議論の絞り込み
テーマの深め方(参考事例)❼ テーブルメンバーへの配慮・気づかい
❽ グループ討論のまとめ
グループ討論をまとめる際の3つの注意点
テーブル長の役得
グループ発表者の役割
グループ発表で伝える内容
グループ発表者の役得
グループ討論の成功のカギ