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事業承継は、後継者とのコミュニケーションです。残念ながら、社長の思いどおりにすべてをコントロールすることはできません。この当たり前のことを理解していない社長が、案外たくさんいることに驚きます。
息子にしろ、第三者にしろ、後継者と具体的なスケジュールを定めることで、ようやく動き始めるものです。
どんなに周到に準備をしていたとしても、大なり小なり意見の衝突はつきものです。場合によっては、その問題を解決するために、苦しい決断をしなければならないことも出てきます。
たまに、決断をアドバイザーに委ねてくる社長もいますが、それは筋違いです。
ロマンとソロバンのバランス感覚
事業承継の決断は、社長が会社経営での判断基準と同じ基準で行わなければ、事業承継はうまくいきません。社長が今まで下してきた”判断基準”とブレると、必ずおかしなことが生じてきます。
すなわち、ロマンとソロバンのバランス感覚です。
「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」
この二宮尊徳の言葉は、「ロマンとソロバン」の概念を端的に表しています。
このままだとわかりにくいので、『道徳』という言葉を『理念(ロマン)』に、『経済』という言葉を『利益(ソロバン)』に置き換えると、おそらくしっくりくると思います。
企業が、理念をないがしろに利益だけを追いかけていくと、犯罪に走ってしまう可能性があります。実際に、犯罪に手を染めるまでいかないにしても、自分の利益だけを優先していたら、お客さまや従業員の心は次第に離れていってしまうことは明らかです。
だからと言って、いくら素晴らしい理念を唱えていても、利益が出ていなければ、会社を継続していくことが困難になってしまいます。結果として、お客さまを満足させることができなくなってしまいます。
いくら立派な社長と言っても、今まですべて順風満帆だっという人は多くはありません。
時には判断を誤り、失敗を犯したことも少なからずあったはずです。それでも、大事に至る前に軌道修正し、長い目で見ればその決断がブレないように心がけてきたからではないでしょうか。
ブレない判断基準
多くの人に影響を及ぼす重大な決断をするとき、社長の決断がブレると、事業の命運を左右するような失敗を犯しやすくなります。
事業承継における判断は、私心を入れずに、一本筋の通ったものでなければなりません。動機や実行過程が不純であれば、後継者や利害関係者には必ず見透かされます。
決して、安易な決断を行ってはいけません。
事業承継を何度も経験する社長は多くはありません
定期的な収入が途切れ、やるべき仕事がなくなることは、社長にとって一定の恐怖を感じることなのかもしれません。
しかし、一時の感情に流され、30年40年かけて積み上げてきた判断基準と異なる決断をすると、事業承継後に必ず大きな後悔となって、自分を苦しめる事になります。
そうならないためにも、過去の判断基準と照らしあわせて、事業にとって最適な決断を選択することをおすすめします。
後継者の指名は、社長最後の大仕事です。事業を円滑に承継するためには、自分の価値観にあった後継者を選定する必要があります。