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事業拡大の方法の1つとして「会社を買う」ということはそれほど珍しくなくなってきました。
マイクロソフト、Google改めアルファベット、ソフトバンク、Amazon、Facebookなど名だたる企業が、事業拡大や成長を目的に買収を繰り返しています。
しかし、特に中小企業においては一生にそう何度もあることではありません。
ですから、「より良い企業買収の方法」はなかなかわからないものです。
そこで、今回は「企業買収」する際にこれだけは気をつけていただきたいこと4つを解説していきます。
- 企業買収を検討している人
- 事業拡大を模索している人
- 天下を取りたい人
会社買収の心得 その1 対等な関係を築く
まずは、大切な心得として「会社を買う」ということを単なる買い物として考えないことです。
会社を売却する経営者にとって、会社は人生そのものです。
それを売るわけです。
しかも、そこには「従業員」という「人間」が存在します。
つまり、コンビニでお菓子やビールを買うのとはわけが違います。
また、これがわかっていたとしても、事業規模、売上などで「自分の方が格上」などとは絶対に思わないでください。
企業買収おいては売り手と買い手の双方が対等の関係であることが成功の秘訣となります。
ちょっとでも買収する方が「自分が格上」などと思うと、無意識に言葉のはしばしに出てしまいます。
もし、買収する側が創業した経営者の場合、これまでさんざん苦労されてきたので、売却される側のこれまでの苦労や思いがわかるハズです。
ですから、私が助言しなくても、相手の心中を察することができると思います。
しかし、率直に申し上げますが
- 資金繰りのこと
- 人を雇うこと
などで苦労なく、社員が数十人から数百人など揃っている状態で経営者になった2代目の方や、役員、経営企画の方などは注意が必要です。
例えば
などという、軽く出てしまう言葉にも要注意です。
買収側は、「御社の従業員は10人で、そのくらいの規模だったら、(私が事業承継して、引き受けても)大きな問題なく経営できますよ!!」
・・・と、相手を安心させるつもりで言ったとしても、言われた方は
などと捉えかねません。
言葉一つで傷つき、怒りも湧いてくることもあるのです。
実際、ほんの些細なひと言で、企業同士の会社のM&Aは、状況がガラッと変わることがあります。
私は、買収する側が売却する側に与えるひとことの重要性について十分すぎるほど知っています。
だからこそ、「本心から『相手とは対等である』と思い、尊敬の念を込めて接してください」と最初の段階から口酸っぱく、何度も申し上げてます。
会社買収の心得 その2 直接、値切らない
会社の買収をするのだから、「自分の希望の金額を言ったり、値切る権利はあるでしょう」と思うかもしれません。
もちろん、それはできます。
しかし、気をつけなければいけないのは、会社を売却する経営者に
などと直接値切ることです。
これはもってのほかです。
こんな風に値切ることは会社を売却する方からすると「バカにされた!」と思ってしまうのです。
これも想像してみてください。
手塩をかけて育てた娘を嫁にやるのにケチをつけられるのと一緒です。
絶対、直接は言ってはいけないことです。
どんなに丁寧な言い方をしても
- 安く見られた
- バカにされた
- ケチをつけられた
と捉えられてしまいます。
ですから、まずは私のような仲介役である事業承継の専門家に伝える必要があるのです。
これも気をつけていないと無意識のうちにポロっと言ってしまいかねません。
一方、私のような立場の人間であれば
と、客観的かつやんわりと伝えることができます。
やはり利害関係のない者のいうことなら、売却する側は値切りをされても、受け入れやすくなります。
値段の交渉は、第三者を通して粛々と進めるのがベストな方法と心得ておきましょう。
会社買収の心得 その3「ひやかし」はしない
こんな言葉もまれにポロっと出てきてしまうこともあります。
まぁ、悪気はないのでしょうが、私から言わせると
という気持ちです。
会社を売却する経営者にとっては、買収側の本気度もすぐに見抜くことができます。
また、冷やかし、本気でもない人に会社を買って、その後経営などできるはずもありません。
このくらいのこと・・・と思うかもしれませんが
などということになりかねません。
実際、これに似たケースをいくつも聞いたことがあります。
そうなると黒字のまま、事業終了・・・
こんな社会的損失はありません。
社会のためにも経営者がそんな決断をしないことを心から願います。
それには、相手の会社のことを心から尊重し、言葉や態度で表すことです。
会社買収の心得 その4 投資と一緒にしない
最後に、会社の企業買収の際の言葉というより、そもそもの心得なのですが・・・
私が事業承継の専門家だと知ると、こんなことをおっしゃる方がいます。
これは、よくあります(苦笑)
わりとみなさん、会社のM&Aにはご興味はあるようなのです。
それはいいのですが・・・
私が言いたいのは・・・そもそもなのですが・・・
- いいものってなんですか?
- 何を目的に会社を買うのでしょうか?
- 会社を買ってどうしたいのでしょうか?
この質問にお答えいただけないのでしたら、
「何かいいもの(会社)あったら教えてください」という問いは不毛です。
そして、そもそもM&Aには守秘義務があります。
また、それが大ぴらになると憶測も含めて、様々なニュースになり広がってしまう・・・そんなリスクもはらんでいるものです。
そんな風に気軽に聞いてくる方は、恐らく、会社のM&Aが不動産投資や株式投資のような感覚なのでしょう。
ここでも冒頭のように「会社を買う」ということを単なる買い物や投資と考えてないでください、と言いたいですね。
しかし、残念ながらたまに私におっしゃる方がいるのです。
そんな言葉を聞くにつれ、私は少々がっかりした気持ちになります。
「会社を売ること、そして買うことはお互い人生をかけている大事なものを売買する、とても重要な局面なのに・・・わかっていないな」と。
それはまるで私のやっていることも、軽くみられているような気持ちになってしまうのです。
もちろん、この記事をお読みいただいているあなたは、そんなことはないと思います。
しかし、たまにこのようなことをおっしゃる方もいる、ということでちょっとアドバイスも込めてご紹介します。
会社のM&Aは、買う側と売る側の両方の尊敬によって成り立つものです。
特に経営者や社員と距離が近い中小企業においては、買収する側の理解や尊敬がそのまま直接、売却する会社に伝わっていきます。
何より、経営を受け継ぐにあたっては買収者自身がスムーズに、そして気持ちよく売却してもらうことが、その後経営状況が上手くいくか、否かを決めます。
会社のM&Aをより良く行うためには、買収者の言動が大きな影響を与えることをご理解いただければと思います。
会社買収をする際の心得4つまとめ
会社買収する際には、単なる買い物の場合と違い、会社を売却する経営者と同じ「覚悟」が必要です。
また、表面的な言葉だけでなく、心から相手の経営者、従業員そして会社に対して尊敬の気持ちを持たなければなりません。
そのためには、単なる値段やその他の数字だけでなく、買収する会社の存在意義を十分理解することが大前提となります。
それが理解できれば、この四つの心得が自然とできるようになっていることでしょう。
最後にもう一度、企業買収の心得をまとめておきますね」
- その1 対等な関係を築く
- その2 値切らない
- その3 「ひやかし」はやめてください
- その4 投資と一緒にしない
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