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2018年1月26日、コインチェックから5億2,630万XEM(当時のレートで約580億円相当)の仮想通貨NEM(ネム)が盗まれました。史上最大の被害額と見られるハッキング事件です。
詳しくは、ごちらをご覧くださいね。
さて今回は、コインチェックを立ち上げた和田晃一良さんの原点について探っていきたいと思います。
名 前 | 和田 晃一良(わだこういちろう) |
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生年月日 | 1990年生まれ(騒動時は27歳) |
出身大学 | 東京工業大学 経営システム工学科 |
事業経歴 | STORYS.JP・コインチェック |
和田さんは、小学校5年からプログラミングに興味を持ち、大学の受験も数学1科目のAO入試するほど、数学の天才でした。
和田さんの転機となったのは、ウェブアプリ開発会社でのアルバイトです。スマホアプリの開発にどっぷりハマり、様々なハッカソンで優勝するなど、若手の起業家界隈では知られた存在となりました。
サービスを作る喜びに目覚めた和田さんは、コインチェックの前身となる、レジュプレスという会社を立ち上げます。このレジュプレスで立ち上げた事業が、STORYS.JPとコインチェックです。
STORYS.JPは、個人の持っている人生の変化点となったストーリーを、短編小説のような形式で提供するサービスで、「一人ひとりの生きたストーリーは、きっと誰かのためになる」というコンセプトで立ち上げられました。
読むだけで、誰かの人生を覗くことができます。
中には、あなたが夢見る場所に
すでにたどり着いている人、あるいは、あなたもぶつかっている問題に同じく直面し、
乗り越えようと挑戦している人も
いるかもしれません。みんな、この世界で、
何を想い、何をして生きているのか。STORYS.JPを読めば、
あなたの世界が広がります。(参考URL: https://storys.jp/guest_about)
感動的なストーリーや言葉は人の心を動かし、大きなエネルギーになります。誰かの体験談に、勇気をもらったり、励まされたりすることって、ありますよね。それを、WEBサービスで行ったのが、STORYS.JPです。
「ビリギャル」などの人気コンテンツを生み出しているので、ご存知の方も多いかもしれません。和田さんは、このサービスをほぼ一人で開発。2年あまりで10作品を書籍化し、総発行部数は120万部超、人気サービスへと成長させました。
STORYS.JPには、CEOの和田さんやCOOの大塚さんのストーリーもありますので、ぜひご覧になってみてください。ちなみに、和田さんは、幼少期に父親に教わった言葉が、起業を志したきっかけになったそうですよ。
Follow your passion!
See the world!
Never give up!
身近にメンターがいない場合、STORYS.JPで“自分に合ったストーリー”を求めるのもありだと思います。
ちなみに、コインチェックは、2017年7月31日にSTORYS.JPを1010株式会社(代表取締役:清瀬史)へ事業譲渡しています。売却理由は、仮想通貨事業に経営資源を集中させるためです。清瀬社長は、サービス開始当初からの主要メンバーで、事業を託すには最適なお相手だったと思います。
2014年2月。世界最大の取ビットコインの取引所MTGOX(マウントゴックス)が破綻しました。この報道を見て、「大企業や上場企業が参入できない領域でスタートアップするなら、マイナスのイメージが付きまとっている今が、逆にチャンスだ」と和田さんは感じたそうです。
ちょうどその頃、和田さんは全く新しいサービスを模索していました。自分たちで”文化を育てる”STORYS.JPという事業に、行き詰まりを感じていた時期でした。次に始めるサービスは、しんどいサービスよりも、時代の潮流に乗るサービスが良いと考えていたのです。
すでに、“国内初”の仮想通貨取引所 bitFlyerがありましたが、使い勝手の良くないものでした。
ウェブをよくわかっていない人の作った使いづらい仕様。和田さんは、STORYS.JPでBtoCのノウハウが蓄積されていため、市場が成熟していない今であれば、先行者を圧倒できると踏んだのです。
誰もやらないなら、オレがやってやる!!
2014年6月、和田さんは株主に黙って、こっそりとシステム開発に着手します。金融業界の経験がないことで、ストップされるのが目に見えていたからこその、強行突破です。株主には、結果を出した後に説得すると心に決めて、実行に移したのです。
和田さんのスゴイところは、その再現力にあります。6月に開発を始め、8月に仮想通貨取引システムを完成させたのです。たったの2ヶ月でプロダクトローンチ。しかも、無駄を徹底的に排除したシンプルな仕様。2,3クリックで売買まで到達し、売買成立までの時間を極力短くしたユーザー目線のものでした。また、13種類の仮想通貨を取り扱っていたのも、ユーザーにとって魅力的でした。
実際に、筆者も使っていましたが、他社のサービスとは比べようのないほど、使いやすいものでした。ネットでは、コインチェックの脆弱性を指摘する声もありましたが、使わずにいられないほど、使いやすかったのです。
また、変化が激しい仮想通貨業界ではスピードが命。次々と上がってくるユーザーの要望に、ドンドンと応えていきました。天才プログラマーの和田さんがいれば、たちまち改善。とにかく開発スピードが圧倒的だったのです。おかげで、ユーザー数は右肩上がり。コインチェックは、和田さんの再現性に極度に依存している状態でした。
2018年4月6日、マネックスは、コインチェックの発行済株式177万5,267株すべてを買い取り、コインチェックを完全子会社化すると発表しました。コインチェック騒動から、わずか4ケ月あまりの出来事でした。
CEOの和田さんとCOOの大塚さんは経営責任を取り、取締役を退任。執行役員として、新たな経営体制のもと業務執行にあたります。新たに代表取締役に就任するのは、マネックスグループの勝屋俊彦さんです。マネックスCEOの松本大さんも取締役に就任します。
買収総額は、36億円。持株比率で単純計算すると、45.2%の和田さんが約16億円、5.5%の大塚さんが約2億円を受け取る計算になります。
個人的には、随分とお買い得だったように思います。ただ、この価格が安いか否かは、今後のマネックスの取り組み次第です。今後、顧客からの訴訟リスクや仮想通貨事業の規制強化なども考えられます。難しい舵取りが迫られる場面も想定できますが、マネックスにはコインチェックをもっともっと大きく育ててほしいですね。
マネックスの狙いは、フィンテックビジネスの強化です。具体的には、ITテクノロジーに精通した専門家の取り込みです。特に、金融とは関係のないテクノロジーの強みを生かして、仮想通貨市場で成長を遂げてきたコインチェックの技術は魅力的です。その発想を金融ビジネスに取り込むことは、今後の発展に欠かせないものになっていくはずです。仮想通貨の発行と流通を支える「ブロックチェーン(分散型の元帳技術)」の応用も可能です。
逆に、マネックスがすべきは、法律や規制が新しい発想に対応しているかチェックする体制作りです。コンプライアンスの部分ですね。コインチェックの場合、取引を支えるテクノロジーの開発には成功しましたが、安心感のある取引ルールを整備できませんでした。安心感の提供は、フィンテック事業を強化・成長させるために継続的に取り組むべき課題です。
マネックスがコインチェックを活用し、新しいビジネスを創出できるか否かが、今後の成長の大きなカギになるはずです。
「いろんな人の意見を聞いていると、丸まったアイデアになってしまう。自分で作れたからこそ、思い切った意思決定、『日本で一番簡単にビットコインを買える取引所』という尖ったサービスを作れた」
和田さんは、過去のインタビューでこのように答えています。この”独断”と“尖り”が、今回のコインチェック騒動を招いたと言っても過言ではないと思います。そのせいで、自社の株式を売却する破目になりました。間違いなく、不本意ながらのM&Aですよね。
だからといって、天才的な技術で世界を変えようとした和田さんのおもいや、仮想通貨ブームの大きな立役者となったことは、疑いようのない事実です。
マネックス傘下で再建を図るコインチェック。和田さんは、開発担当の執行役員としてコインチェックに留まることが発表されています。天才プログラマーを活かすも殺すも、マネックス次第、いや自分次第です。
人生は、何度でもやり直せます!!
和田さんは、”汚名返上”のチャンスをもらったと思って、愚直に仕事に邁進し、人間の可能性を証明してほしいものです。和田さんがこれから生み出すストーリーは、きっと誰かのためになります。創業時のおもいをマネックス傘下で実現してみてはいかがでしょうか。どうせ目指すなら、”日本一簡単な取引所”と言わず、”世界一簡単な取引所”にして上場へ…。
その方が、ストーリーとして絶対に面白いですよね。天才プログラマー和田さんだったら、やってくれるのではという期待感があります。もし、辛くなったら、思い出してください。
起業を志すきっかけとなった、お父さんの言葉を…。
Follow your passion!
See the world!
Never give up!
<追記> 2019年9月10日、コインチェックは副社長に和田晃一良氏が就任することを発表しました。挑戦し続ける和田さんを筆者は全力で応援しています。失敗してもやり直せる社会って、いいですよね。
昨日付けでコインチェックの副社長に就任しました!
まずは来年4/1の法律改正を見据えていろいろ動いていきます!https://t.co/EnSiLCtvLt— 和田 晃一良 (@wadakooo) September 11, 2019
STORYS.JPの存在は知っていましたが、まさか和田さんが開発したサービスとは知りませんでした。「一人ひとりの生きたストーリーは、きっと誰かのためになる」というコンセプトは、社長勇退ドットコムの理念に通じるところがあります。このブログも、筆者が誰かの引退ストーリーを語るのではなく、ご自身で勇退ストーリーを語る「自分語り」というスタイルにもっていきたいですね (*ˊᗜˋ*)/ᵗᑋᵃᐢᵏ
続けて、こちらのコンテンツもご覧くださいませ(๑˃̵ᴗ˂̵)و テヘペロ
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