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【レバンガ北海道】選手兼オーナー折茂武彦社長の奮闘記

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豆腐屋の二代目である父親が廃業し苦労した経験から、事業を継続することの難しさを実感。苦しさを打ち明けられない社長の心の内に関心を抱くようになる。 会計事務所・東証プライム上場(旧東証一部上場)のM&A専門会社を経て、勇退を志す経営者を応援するサイト「社長勇退ドットコム」管理人を務める。一方で、メルマガ、ブログ、YouTubeなど幅広く情報発信。熱血M&Aアドバイザーが主人公の漫画「ロマンとソロバン」は、集英社の第15回「グランドジャンプ漫画賞」の佳作を受賞している。 ☞ 詳しくはこちらから

バスケットボールBリーグの最年長選手、レバンガ北海道の折茂武彦選手(49歳)が、2019年9月30日に現役引退の発表をしました。それから約半年後の2020年5月3日、ついにその日が訪れてしまいました。

レバンガ北海道のオンライン会見の席には、背番号9のユニフォームではなく、スーツ姿の一人の男がたたずんでいました。

https://twitter.com/B_LEAGUE/status/1256901314820390914?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1256901314820390914%7Ctwgr%5E&ref_url=https%3A%2F%2Fbasket-count.com%2Farticle%2Fdetail%2F41849

折茂選手、27年間本当にありがとう!!

まだBリーグがない時代、筆者が青春時代に夢中になって応援していた選手、それが折茂武彦選手でした。

ところで、折茂選手って誰???

って人も少なくないと思います。バスケを知らない世間の知名度としては、こんな反応かもしれませんね。

折茂選手は、イチロー選手が引退するまでは、野球界のイチロー、サッカー界の三浦知良と並んで、三大レジェンドとして称されていたほどの男です。選手生命が短いバスケットボールというスポーツで、49歳まで現役として活躍したスゴイ選手なんです ∑(o゚д゚oノ)ノ.スンゲ────!!

ちなみに、Bリーグの立ち上げの会議で、川淵三郎さんが折茂選手に対して、このように言いはなったそうです。

黙ってられるか (新潮新書)

「君は日本で一番得点を獲っていて、バスケ界では有名なのかもしれないけど、僕は知らない」

ホント失礼な話ですよね(○`ε´○)プンプン!!  折茂ファンの筆者としては、この発言が許せません。でも、そんな川淵さんに対しても、折茂選手は笑顔で対応。紳士的な対応も、折茂選手の魅力の一つなのです。

折茂選手の生き様を知ることで、みんな折茂さんのことが好きになり、心がホッコリするはずです。

ということで、今回は、 レバンガ北海道の選手兼オーナーの折茂武彦社長をご紹介したいと思います。

この記事は、こんな人におすすめです!
  • レバンガ北海道ファンの人
  • バスケットボール界の創成期に興味がある人
  • これから社長になろうとする人

🏀 バスケットボール界のレジェンド 折茂武彦

名  前 折茂 武彦(おりも たけひこ)
生年月日 1970年5月生まれ (年齢 49歳)
出 身 地 埼玉県上尾市
身  長 190cm
体  重 77kg
ポジション シューティング・ガード
プロ入り 1993年(デビュー:1993年)
経  歴 埼玉栄高校、日本大学、トヨタ自動車、レラカムイ北海道、レバンガ北海道

折茂選手は、プロ入りからトヨタ、レラカムイ北海道、レバンガ北海道と渡り歩いています。そこには、折茂選手の栄光と挫折、そして様々な葛藤がありました。

🏀 トヨタ自動車からレラカムイ北海道へ移籍した折茂武彦

埼玉栄高校から日本大学に進んだ折茂選手は、1年生の時からスタメンとして活躍し、4年生のときにはMVPを獲得しています。大学卒業後、日本リーグ1部の企業チームトヨタ自動車に入社し、日本代表にも選出されます。トヨタ自動車では、数々の優勝を手にし、2005年にはレギュラーシーズンでも勝率1位の完全優勝を果たしました。その頃、トヨタ自動車で14年間プレイをした折茂選手は、現役引退を模索していました。当時36歳でした。

🏀 企業チームを蹴って、プロチームへ移籍した折茂選手の覚悟

折茂選手は引退後、トヨタ自動車にそのまま残るという選択肢はありました。しかし、2006年、日本で開催された世界選手権に魅せられた折茂選手。36歳でも十分に戦えるということがわかり、2007年、37歳の時に何の保証もない新設のプロチーム レラカムイ北海道へ移籍を決断します。

この時代に新設チーム移籍という決断は、あまりにも無謀な賭けでした。

企業チームの場合は、自前の体育館があって、すべてのお膳立てを母体である企業がしてくれます。給与面での安定もあり、もちろん遅延はありえません。反対に、プロチームの場合は、母体がないので興行収入とスポンサー料で賄わなければいけません。社宅もなければ練習場所もない、すべて自分たちでやることになるのです。

🏀 レバンガ北海道の選手兼オーナーの道を選択した折茂武彦

2007年に新設されたレラカムイ。同じくトヨタから移籍してきた桜井良太選手らと、初年度からチームをけん引しました。

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2010-2011シーズン開幕。折茂選手は、圧倒的な存在感を示し、「ミスターレラカムイ」として人気を誇っていました。レラカムイ北海道のホームゲームには、相変わらず多くの観客が訪れ、傍目にはチーム運営は順調に見えました。

しかし、運営会社の累計赤字は4億7,000万円にも積み上がり、選手やスタッフへの給与の支払いは滞っていました。そんな中、チーム再建を託す予定の新たな運営会社が、東日本大震災の余波を受けて撤退。レラカムイ絶対絶命のピンチです。

連日開かれる、チームの存続を決める会議。進展のない会議に業を煮やして、口火を切ったのが折茂選手でした。

「じゃあ、僕がやる!!」

ありえない選択です。一般社団法人北海道スポーツクラブを設立。同時に創設された新チームが、レバンガ北海道でした。折茂選手は、理事長に就任すると同時に現役続行を表明し、異例の選手兼オーナーとなったのです。当時、折茂選手40歳です。

🏀 折茂武彦社長を支えた妻の言葉

スポンサーを探し北海道中を奔走する日々。今まで、人に頭を下げたことがないという折茂選手が、何千回と頭を下げて道内を走り回りました。もちろん、営業の後は、選手としてトレーニングもこなします。とんでもないバイタリティーです。

「バスケット界全体にとっても、北海道にチームを残さなくてはいけない。
レバンガをなくしたら、北海道のチームが潰れるのがレラカムイに続いて2度目となってしまう。
そうなると、成功するはずがないと、3チーム目を立ち上げようとする人は絶対に現れない。
だから、日本のバスケットのためにも潰したくなかった」

その原動力となったのが、自身を優しく迎い入れてくれた北海道に対する恩義でした。ファンから必要とされ喜びが、折茂選手を突き動かしたのです。

とは言え、銀行からの借り入れも断られ、新たなスポンサーも見つからない中、自身の貯金を切り崩し、所属選手の給料を払うことは、なかなかできるものではありません。その額、2億4,000万円 。折茂選手の貯蓄は、わずか2年で底をついたそうです (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

ありえない金額ですよね。気づけば、体重も8㎏落ちていたそうです。

私財を投げ打つ折茂選手を見て、周囲は猛反対。唯一、反対しなかったのが奥さまだけでした。貯金が底をついた折茂選手は、関東に住む奥さまに事情を話しました。それを聞いて、妻は取り乱すどころか、顔色ひとつ変えずにこう答えたと言います。

「自分がバスケで苦労して稼いだお金なんだから、自分で使えばいいよ。
失敗したら帰って来ればいいんだから…。」

なんとも肝の据わった奥さまですね。”コロナ離婚”とは、対局の世界に生きていますね(笑)。

🏀 気になるレバンガ北海道の現在の決算内容

このブログを書くにあたって、レバンガ北海道の決算報告を調べてみました。

レバンガ北海道の前期(2018年7月1日~2019年6月30日)の売上高は、790,129千円と前々期に比べ137%増となっています。しかも、3期連続黒字を達成しています。チームとしての戦績(10勝50敗)は振るわなかったものの、シーズン平均来場者数はリーグ4位となり、興行収入においては当初目標を達成しました。

Bリーグ3年目という試されるシーズンの中、レバンガ北海道は見事に復活を遂げたのです。

ファンミーティングなど、ファンを前にするイベントで折茂選手がよく言う言葉があります。

「レバンガ北海道を運営するのは、株式会社北海道バスケットボールクラブです。僕は、その会社の代表ということになっていますが、レバンガ北海道は僕のチームではありません。みなさんのチームです。思うことを、希望を、不満を伝えてください。みなさんで、いいチームにしていきましょう」

企業チームのトヨタ自動車から去った36歳のとき、折茂選手のやめる覚悟はとっくにできていました。49歳という年齢まで頑張ってこれたのは、ただ現役でいたいという気持ちだけでなく、チームの戦力でありたいという強い覚悟があったからだと思います。

最後に、折茂選手の言葉を借りて、締めくくりたいと思います。

「北海道のたちとの出会いとつながりが、僕の財産です。貯金はないんですけどね(笑)」

おあとがよろしいようで…。

💬 筆者のひとりごと

2019年1月5日、折茂選手はシーホース三河戦で、国内トップリーグ通算10,000得点を達成しました。実は、そのゲーム、筆者はウィングアリーナ刈谷で歴史的瞬間に立ち会っています。とても幸せ者ですね。試合後の折茂選手と桜木ジェイアール選手のハグは、グッとくるものがありました。

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