自社の持つ経営資源だけでは、そのポテンシャルを超える成果を出すことはできません。しかし、もし外部の資源とうまく重ね合わせることができたら、能力以上の成果を出す可能性が高まります。戦略的提携は、中小企業が限られた経営資源で生き残るための必須の戦略といっても過言ではありません。
業務提携の種類
業務提携はその目的により次のような種類があります。
生産提携
生産提携とはある企業がパートナーとなる企業に対して生産の一部や製造工程の一部を委託することです。委託者側にとっては、生産提携により生産能力を補充することが可能となります。ある製品に対する需要が好調で、自社の生産設備や人員では生産能力が追い付かないという状況において、生産能力を持つ他企業に委託をすることでメリットを享受できます。受託する側にとっては生産量をふやすことが出来て、設備稼働率をあげられます。
販売提携
販売提携とは、パートナー企業同志で販売上のメリットを相互に提供しあうことをいいます。技術力や商品力はあるが販売力が弱い企業というのは多く存在します。とくに新たな分野や新たな地域をターゲットとした商品開発を行った場合や、新規事業進出などの場合には、パートナー企業の販売力を活用することは有効となります。
技術提携
技術提携には、共同で技術開発を行う場合と、すでにある技術を供与する提携のパターンがあります。
共同開発は、複数の企業がお互いの技術や人材を持ち寄り、ある特定分野の技術を協力して開発していくものです。共同開発のメリットは次の3つがあります。
- 技術の複合化への対応
技術の複合化が進み、専門分野に特化した一企業だけでは新たな技術開発が難しい時代になっています。素材メーカー、部品メーカー、完成品メーカーなどがお互いに協力し合うことで新たな技術開発の可能性が高まります。 - 開発のスピードアップ
技術開発もスピードが要求される時代です。競争相手に遅れをとってしまっては、技術開発の努力は実りません。共同開発を行うことによりスピードアップが可能となります。 - 開発リスクの分散
開発には多額のコストがかかります。複数の企業が開発資金を出し合うことによりリスクの分散を図ることが出来ます。
こうした提携はアライアンスやコラボレーションという言葉でよく表現されています。提携とは、特定の分野に限定をして企業同士が協力関係を結ぶことです。提携には、特定の業務に限定して協力をし合う業務提携と、それから一歩進んで資本を持ち合う資本提携があります。
こうした提携関係は、お互いの企業が経営的に独立性を保ちながら協力し合うというところが特徴です。この提携関係がさらに強固なものになったのが企業合併や企業買収といった、いわゆるM&Aです。
業務提携に至るステップと成功の条件
業務提携に至るまでには次のようなステップを踏むことになります。それぞれの事項について慎重に進めることが提携成功の基本条件です。
提携目的の明確化
何のために提携を行うのかを明らかにし、その目的達成のために自社で出来ること、他社に求めることは何かを明確にしておかなければなりません。このことがあいまいでは成功にはつながりません。
パートナー企業探索
過去に取引関係があった先などは、先方の経営状況などが把握できているのでリスクは少ないといえます。 企業同志のつながり、人と人とのつながりはたいへん大事です。日頃から外部との交流を深めておくことが大事です。新たにパートナー企業を探すという場合は、金融機関や公的機関を通じて紹介を依頼する方法が有効と言えます。
調査
提携先の候補となる企業に関する調査と同時に、提携を行う際の事業計画作成のための調査も綿密に立案しておくことが成功の秘訣です。
契約
提携にあたって契約を結ぶことは欠かせないことです。起こりうる事態を予想して漏れのないように契約事項を検討していきます。たとえば技術提携などの場合には当事者以外の第三者へノウハウが漏洩してしまわないように秘密保持対策を盛り込んでおかなければなりません。
リーダーシップ
歴史も企業文化も異なる企業同士がお互いに協力し合い新たな付加価値を創出していくには、そこにかかわるメンバーを束ねるリーダーの存在は欠かせません。提携関係を結ぶ段階でも、また契約締結後の実行段階でもさまざまな難題が降りかかってきます。こうした課題から逃げることなく解決をしていくには、強い目的意識と、異質のものを受け入れる柔軟な発想、参画メンバーを引っ張っていく強力なリーダ-が必要になります。 リーダー不在では提携は成功しません。
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