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映画「アイアンマン」は、巨大軍需企業(スターク・インダストリーズ社)の社長トニー・スタークが、活躍する物語です。天才的な才能で技術開発や発明を行い、パワードスーツと呼ばれる戦闘服を身につけ巨悪と戦う姿がとてもカッコいいですよね。
このアイアンマン、「マーベル・コミック」が原作となっていますが、この主人公のモデルになった人物がいることは、みなさんご存知でしょうか。そう、イーロン・マスクさんです。
映画「アイアンマン」が公開されるやいなや、インターネット事業や宇宙開発事業を手がけるイーロン・マスクさんの姿が主人公と重なり、ファンの間で話題になっていたそうです。実際に、映画監督のジョン・ファヴローさんは、イーロン・マスクさんから主人公トニー・スタークのインスピレーションを得ていることを認めています。2010年に公開された「アイアンマン2」では、本人が出演をしたことでも話題となりました。
このハチャメチャな主人公にモデルがいること自体、驚きですが、このモデルとなった人の人生を調べてみると、映画顔負け、もっとハチャメチャでした(笑)。
さて今回は、映画「アイアンマン」のモデルにもなった、今、世界で最も注目される経営者、イーロン・マスクさんを探っていきたいと思います。
イーロン・マスクさんは、ネット決済の仕組みを根底から変えたペイパルの創業者であり、連続起業家(シリアル・アントレプレナー)としても有名です。
イーロン・マスクさんは、「スティーブ・ジョブズを凌ぐイノベーター」とも言われ、桁外れの野心家として知られています。ちなみに、グーグル創業者のラリー・ペイジさんはこんな発言をしています。
「もし、自分の莫大な財産を残すとしたら、慈善団体ではなく、
イーロン・マスクに贈る。彼なら未来を創れるからだ。」
世界中の名だたる投資家が「イーロン・マスクが描く未来」に並々ならぬ期待を寄せ、イーロン・マスクさんの元に莫大な資金が集まっています。その理由は、カネ儲けではなく、未来を作ることに情熱を傾けているところにあります。少年ジャンプの主人公のように、ただひたすら純粋に夢を追い求めているのです。この純粋さこそが、イーロン・マスクさんの最大の魅力であり、眩い光を放つ強烈な個性となっています。
イーロン・マスクさんのすごいところは、行動力と不屈の精神です。全てにおいて決断力が尋常ではないのです。とにかく一貫して即決です。周りがどんなに批判しようと、巨額なリスクを背負おうと、一貫して即決をしていくのです。それは、大学時代からほぼ変わっていないようです。
アメリカのペンシルベニア大学で物理学と経営学を学んだイーロン・マスクさんは、1995年スタンフォード大学の大学院に進学しました。スタンフォード大学といえば、ヤフー、グーグルといった、シリコンバレーを代表するIT企業を生みだしている名門大学です。
しかし、たったの2日で辞める決断を下します。辞めた理由は、1995年という年に大きく関係しています。そう、マイクロソフト社のWindows95が多大なる影響を与えています。新しいソフト開発を急がなければ、先を越されると思ったイーロン・マスクさんは、何の躊躇もなくあっさりと辞めてしまいます。なかなかできる決断ではありません。
大学院を2日で辞めたイーロン・マスクさんは、弟のキンバル・マスクさんと一緒にオンラインコンテンツ出版ソフトを提供するZip2(ジップツー)を創業します。そして、そのZip2社をCompaq(コンパック)に3億ドルで売却し、2,200万ドル(約22億円)を手にします。
1999年、28歳の時に、オンライン決済サービスを提供する「X.com(現在のPaypal:ペイパル)」を創業しました。3年後の2002年、このPayPal(ペイパル)をeBay(イーベイ)に15億ドルで売却して、イーロン・マスクさんは1億7千万ドル(約170億円)を手にします。
色々とすったもんだはありましたが、大金を手に入れたイーロン・マスク。まさに、現代版わらしべ長者です。これらの売却で得た資金が、イーロン・マスクさんを次なるステージへとかりたてることとなるのです。
イーロン・マスクさんの最終ビジョンは、”人類の火星移住”です。
「・・・。」
はい、それが普通の反応だと思います。もちろん、筆者もそうでした。初めはまったく理解不能でした。いや、今もあまり深くは理解できていないと思います。でも、これはホラ話ではありません。もちろん、ガンダムのスペースコロニーの話でもありません。
イーロン・マスクさんは大マジメに人類の未来を考えています。起業家として活動し始める学生時代から、事業をやるなら、以下の3つの分野に決めていたそうです。
この3つの分野が、人類の進歩に最も貢献できるというのがその理由です。
インターネットへの興味がZip2(ジップツー)とPayPal(ペイパル)の創業となり、クリーンエネルギーへの興味が電気自動車製造のTesla Motors(テスラ・モーターズ)に対する買収や、Solar City(ソーラーシティ)の創業へとつながりました。そして、宇宙への興味の表れがSpaceX(スペースエックス)の創業につながったいうわけです。
「地球の人口は70億人を突破し、2050年には100億人に迫る。環境破壊や食料・水不足は進み人類は地球以外の惑星に移住する必要がある。だから、人類を火星に送れるようにしたい」と思い、30歳の時に、SpaceX(スペースエックス)を創業します。
「自然環境をこれ以上壊さないためには、ガソリン車ではなく電気自動車が普及させなければならない」と思い、33歳の時に、電気自動車メーカーTesla Motors(テスラモーターズ)に出資し会長になります。そして、37歳の時に、CEOに就任し、39歳の時に、米ナスダックに上場させます。(自動車メーカの上場は、フォード以来54年ぶり)
「人類を化石燃料依存状態から脱却させ、二酸化炭素排出を減らすことで、火星への移住をする時間を稼ぎだすことになる」と思い、35歳の時に、太陽光発電企業Solar City(ソーラーシティ)を従兄弟と創業し、会長に就任します。そして、41歳の時に、米ナスダックに上場させます。
「交通渋滞のあまりの酷さに頭にきて、地下にトンネルを掘ってクルマを電力駆動の台車(ポッド)に乗せ時速約200kmの高速で運んでしまえ」と思い、45歳のときに創業します。
31歳のときに、PayPal(ペイパル)を売却して得た資金が170億円です。これだけあったら、80歳まで生きたとしても、毎年3.4億円を50年間使える計算になります。遊んで暮らすことだって可能です。それなのに、イーロン・マスクさんは失敗を恐れず、個人資産を投じて宇宙開発事業に乗り出したのです。
しかも、単なる宇宙ベンチャーではありません。全ては地球の未来のために、人類を火星に移住させるために、心血を注いでいるのです。「一社目の成功は運」と言われるビジネスの世界で、M&Aや上場を繰り返すイーロン・マスクさんの実力は未知数です。本来、国家が担うべき「宇宙開発」という大事業を、自分でやってしまおうっていう発想事態、スゴいことです。
では、イーロン・マスクさんをここまで駆り立てたものとは、一体何だったのでしょうか。
地球上の人口は70億人を超え、2050年には100億人に迫る状況です。また、二酸化炭素は増えつづけ、海面は上昇し、自然環境はさらなる悪化の一途をたどっています。さらに、もっと大きな視点で考えると、小惑星の地球衝突のような、地球文明を崩壊させるような巨大な災害が起きる可能性もあります。
このような状況下において、文明を維持発展させる手段として、人類はいずれ地球以外の惑星に住まなくてはならなくなるというのが、イーロン・マスクさんの主張です。もっと簡単に言うと、宇宙の別の場所にもう1つの文明のバックアップを作るという発想です。
このバックアップに最適な場所が、火星なのです。火星は、水と二酸化炭素の存在が確認されているので、酸素も水素もメタンも生成できます。これらの資源はロケットの推進剤として活用できます。また、火星は、一日の長さが地球より37分長いが、その程度なら人間は十分適応できます。火星の気候は決して人間が住めないというものではないのです。
地球文明を残すためには、火星に赴き、植民し、火星の資源を使って自律生活できるようにする必要があります。そのための宇宙船であり、ロケットなのです。SpaceX(スペースエックス)のビジネスは、「文明のバックアップを作る」という大目的のために、会社を維持拡大する手段でしかありません。イーロン・マスクさんは、これから訪れる人類の未来を真剣に憂い、自らの命を使って、この宇宙開発という大事業に取り組んでいるのです。
世界観が大きすぎて、筆者の理解の範疇を超えています((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
少なくとも、「宇宙ビジネスで一山当てる」という類の発想ではないことは、よくわかっていただけたと思います。
使命に燃えるイーロン・マスクさんは、早速NASAについて徹底的に調べあげます。そして、NASAが火星への有人探査を真剣に検討していないことを知り、愕然とします。しかし、その理由が技術的な問題ではなく、コストだけの問題ということに失望します。
NASAから、ロケットを作るには10億ドル(1,000億円)かかると告知されたイーロン・マスク。PayPal(ペイパル)の売却資金1億7千万ドル(約170億円)も、一瞬で吹っ飛ぶ計算です。普通の人だったらおもわず怯(ひる)んでしまう金額ですが、イーロン・マスクさんは関係ありません。
「NASAがやらなきゃ俺がやる!」と決意し、31歳でSpaceX(スペースエックス)を創設します。なんとも、頼もしい理由で宇宙開発に乗り出したのです。
コストを大幅に削減するためにまず行なったのは、原価率(材料費)の徹底比較です。車の原価率が20%、パソコンの原価率が90%と言われる中、ロケットの原価率はたったの2%ということが判明しました。しかも、残りの98%も、ほとんど外注費。さらにさらに、全て相手の言い値という、NASAのコスト意識の低さも浮き彫りになってきました。
この事実を知ったイーロン・マスクさんは、自社で部品を全て設計し、パーツの量産に乗り出しました。たくさん稼働することができれば、高コスト体質を脱却できると確信したからです。そして、すぐさまそれを実行に移します。
イーロン・マスクさんのコスト削減に対するアプローチは、スケールが違います。少しだけ例を挙げさせていただきます。
ロケットを使い捨てるのではなく使いまわしたり、コストのかからないスタンドの建設したり、そのアプローチは、常人が取り難いスケールで行われていきます。全体を俯瞰して捉え、ありとあらゆるコストを見直ていくのです。そして、当初NASAから言われていた1,000億円のわずか0.7%、7億円という驚異的なコストで、見事にロケット開発を実現してしまったのです。
電気自動車や太陽光発電を普及させることは、火星への移住を実現させる時間を稼ぎだす手段です。しかし、手段として捉えるだけではなく、パーツを量産する仕組みとしての思惑もあったようです。
ロケット事業、電気自動車事業、太陽光発電事業、これら3つの事業を同時に取り組むのも、全てはコスト削減、ひいては人類救済につながっていると信じていたからこそ、成し得たことなのです。
電気自動車といえば、バッテリーをたくさん積まなければいけないので、そのボディはどうしてもボッテリとしたものがほとんどでした。その既成概念を吹き飛ばしたのが、イーロン・マスクさんです。
ボディだけではなく、その内装にいたるまでこだわり尽くされています。とことんまで妥協することなく、改善に改善を重ねた賜物だと思います。そして、注目すべきは、近未来を感じさせる斬新なデザイン。日本で発売されたら、ぜひとも購入したい逸品です。(テスラ・モーターズ日本公式サイト)
テクノロジーとデザイン、そしてビジネスを絶妙なバランスで融合しています。すべてを本質から見直し、全く新しい製品を提供することができるのが、イーロン・マスクさんなのです。
TEDのインタビューで、イーロン・マスクさんは、このように語っています。
「考えるためのフレームワークは物理学です。原理と推論、つまり物事を本質的な真理まで煮詰め、そこから推論する。私たちは、生きていく上でアナロジー(ものまね)で推論します。これは、本質的には人のしていることをまねて、少しだけ変えるということです。それは必要なことです。しかし、何か新しいことをする場合は、アナロジーじゃなく、物理学的なアプローチが必要なんです。物理というのは、量子力学のような、直感に反する、新しいものを見つける方法なんです」(情報提供元:TED)
よく日本人は新しいモノを生み出すのが苦手だと言われています。しかし今、日本人に求められているのは、イーロン・マスクさんのように物理学的にアプローチすることなのかもしれません。
数々のM&Aや上場を繰り返してきたイーロン・マスクさんも、SpaceX(スペースエックス)の上場には慎重になっています。ちなみに、2013年6月には、Twitterで以下のようにつぶやいています。
No near term plans to IPO @SpaceX. Only possible in very long term when Mars Colonial Transporter is flying regularly.
— Elon Musk (@elonmusk) June 6, 2013
「スペースXのIPO(新規株式公開)は、火星へ定期的に宇宙船が飛び立つようになってから」
自分の死後、SpaceX(スペースエックス)の人類火星移住計画がブレないように、イーロン・マスクさんは、最初の結婚でもうけた5人の子供たちに、SpaceX(スペースエックス)のの会社経営を委ねる意向のようです。
「どこかのPEファンドに経営を支配され、短期的な利益を得ることに使われるのだけは勘弁してほしい。そうなったら最悪です」(情報提供元:COURRIER)
この言葉一つとってみても、イーロン・マスクさんの宇宙開発事業にかける並々ならぬ意気込みが伝わってきます。私利私欲のために子供に託すのではなく、会社、そして人類の未来を考えて後継者を指名する姿勢は、まさに事業承継のお手本と言えますね。
Papal(ペイパル)で巨額のマネーを得たのは、イーロン・マスクさんだけではありませんでした。Papal(ペイパル)に関わったメンバーは、株式を売却した資金を有効に活用し、ビジネスの世界を拡げていきます。”マフィア“ばりのネットワークと資金力を駆使したことから、ペイパル・マフィアと呼ばれています。
スライド、リンクトイン、ヤマー、イェルプ、ユーチューブ…。ペイパル・マフィアたちが、興した会社は、名だたる会社ばかりです。
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