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世界で一番世界遺産の多い国は、イタリアです。イタリアが保有する世界遺産は、54件にも及びます(2018年時点)。日本が21件なので、かなり多いことが伺えますよね。
イタリアを100%楽しむためには、まず歴史を知らなければ始まりません。ということなんで、読みましたよ。塩野七生先生の「ローマ人の物語」。さすがに全43巻は時間的に厳しかったので、要約版のスペシャルガイドブックにさせていただきました。完全に付け焼き刃ですね(笑)。
改めてローマ史を読み返してみると、これがまあ面白い。様々な皇帝がいて、そこに数々の人間ドラマがあります。優秀な人物ばかりでなく、どちらかというと破茶滅茶な人間だらけ…。特に、暴君ネロと母アグリッピアナはもう昼ドラもんです。そんな皇帝の中でも、着目すべきはなんと言っても、ユリウス・カエサルとオクタヴィアヌスではないでしょうか。
さて今回は、帝政ローマの基礎を築いた初代皇帝オクタヴィアヌスについて、探っていきます。
「ローマ人の物語」の中で、著者 塩野七生先生は、このように言っています。
ローマ帝国の特徴と言えば、寛容政策です。
寛容政策とは、簡単に言えば、民族の違い、文化の違い、宗教の違いを認めた上で、それらをすべて包み込んでしまおうという政策です。実際に、征服した土地の民を自国の民とし、良い人材であれば皇帝にまでしてしまっています。農民から太閤に成り上がった秀吉も真っ青な、ローマドリームですね。
例えば、五賢帝のネルヴァやトラヤヌスは属州ヒスパニア(現在のスペイン)の生まれですし、軍人皇帝時代の混乱を収拾したディオクレティアヌスの両親は奴隷です。このよう優秀な人物を登用し、領土を拡大したのが、ローマの帝国主義でした。
この政策を推し進めたのが、何を隠そう カエサルです。今まで、征服された者は殺戮されるか、奴隷化されるかのどっちかだったのが、市民権や議員権までも与えてしまいます。戦国の世から遡ること約1600年前にですよ。これって、スゴいことですよね。カエサルは、国家を繁栄させるために民族の多様性を推し進めたのです。
そんなカエサルなのですが、最期はブルトゥスなどに暗殺され、志半ばで人生の幕を下ろしました。
暗殺なんてことがあれば国は混乱し、ローマは一気に衰退するかと思いきや、そうは問屋は卸しません。カエサルは、不測の事態に備え遺言を遺していたのです。そう、この人物こそが英雄カエサルの後継者オクタヴィアヌスです。
紀元前44年3月15日、カエサルはブルトゥスらによって暗殺されます。オクタヴィアヌスは、遊学中のギリシャで、カエサルが自分を後継者に指名していたことを知らされます。もちろん、青天の霹靂です。当時、わずか18歳、実績も名声もない青年でした。もっと言うならば、病弱すぎて戦争が全くできない人でした。
名もなき18歳の若造に過ぎなかったオクタヴィアヌス。そんな彼がカエサルの莫大な遺産を受け継ぎ、そのままカエサルの兵団たちをまとめていったのです。
オクタヴィアヌスは、まずパルティア(カスピ海南東部、イラン高原東北部に興った王国・遊牧国家)との戦いにより、カエサルの後継者としての支持を集めます。そして、頭角を現したオクタヴィアヌスに危機感を募らせたアントニウスと同盟した傾国の美女、エジプト女王クレオパトラを打ち破ります。
紀元前27年1月16日、元老院はオクタヴィアヌスに、国の全権を掌握するよう「アウグストゥス(尊厳者)」の称号を贈ることを要請します。オクタヴィアヌスは数度にわたり辞退しましたが、最終的にはこれを承諾し、インペラトル・カエサル・アウグストゥス (Imperator Caesar Augustus) と言われるようになりました。
「初代ローマ皇帝」の誕生です。
オクタヴィアヌスが上手だったのは、「アウグストゥス」という名誉ある称号を何度も何度も辞退したところです。「頼むから引き受けてくれないか」という空気を作り出し、「独裁なんてするつもりはないよ」ということを上手くアピールすることに成功したのです。
終身独裁官(ディクタトル)となって権力を振りかざしたカエサルとは違い、オクタヴィアヌスは、初代皇帝となり、強大な権力を持ちながらも、自らは「プリンケプス(市民の長)」と名乗り続けました。暗殺の原因となったカエサルのような驕りは、全くありませんでした。
「私は権威において万人に勝ろうと、権力の点では同僚であった政務官よりすぐれた何かを持つことはない」
オクタヴィアヌスは、カエサル暗殺という教訓を生かし、ローマ帝国五百年の礎となる統治システムを絶妙なバランスでつくり上げていきました。権力は、長期的に見ると相手(国民)の同意がなければ維持できません。オクタヴィアヌスの優れていた点は、秩序を維持する重要性を、よく自覚していた点です。体が弱くカエサルのように戦う力がなかったからこそ、たどり着いた境地なのだと思います。
軍事力がモノを言う時代、部下に軍権を任せ、最後まで最高権力者として長命を全うしたオクタヴィアヌス。その姿勢からは、学ぶところが多いような気がします。
仕事上、「会社は誰のものか?」という議論がよくあります。当然、法律的には株主のものですが、それを声を大にして言えば言うほど、社員の心は離れていくものです。伝家の宝刀は抜かない所に意味があります。案外、抜いてしまったら錆びてて使えないって落ちが待っているものです。絶大な権力をお持ちの方には、オクタヴィアヌスの生き様は大いに参考になるのではないでしょうか。
それにしても、自分が暗殺される前にオクタヴィアヌスを養子に取り、後継者として指名していたカエサルの先見性には驚かされますね。
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